AI(人工知能)& IoT

AI(人口知能)とIoT(モノのインターネット)について、少しずつ紹介していきます。

2019年03月

 畳み込みニューラルネットワーク(Convolution Neural Network)とは、AIが画像分析を行うための学習手法の1つで、略してCNNとよばれることもある。

 CNNは、「畳み込み層」「プーリング層」という2種類の層を繰り返して構成される。

【畳み込みニューラルネットワークを利用した画像処理の流れ】
①入力画像の全体に対して畳み込み層でフィルター処理を行う。
②処理した画像をプーリング層に流し込む。
③プーリング層で画像の解像度を下げる処理を行う。
④出力層で、1次元の列データにフラット化し、全結合のニューラルネットワークにより、10個のノードに集約する。
⑤SoftMax関数により、それぞれのノードを確率に変換する(全て足すと1になる)。
 ※非線形な要素を入れるため、畳み込み層の後に「活性化関数」が挿入される。 (参考:AI人工知能テクノロジー 「やっぱりよく分からない活性化関数とは」)

【SoftMax関数】
参考ページ:Qiita:softmax関数を直感的に理解したい


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【畳み込み(Convolution)】
 「畳み込み(Convolution)」処理では、画像の特徴を見つけるためにフィルターをかける。すなわち、素性(Feature)マップを生成する。画像をインプットとしてフィルターをかけ、フィルターの枚数分の画像を出力する。コンボリューション(Convolution)は数学用語で、日本語では「畳み込み」。掛け算の結果を足し集める演算からなり、コンボリューションを画像処理に使うと、画像を滑らかにしたり、シャープにしたりできる。掛け算の係数は、3×3などのサイズのマトリックスで指定。これをオペレーター、フィルター、マスク、カーネルなどと呼ぶ。

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【フィルター】

[具体的な処理]
◆入力画像例

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◆ゼロパディング
 入力画像と出力画像のTensor(テンソル)を同一にするために、周囲をゼロで埋める処理を「ゼロパディング」という。
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◆フィルター例
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◆掛け算と足し算
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あとは、ひとつずつずらして計算を繰り返す。

【プーリング(Pooling)】
 素性マップの局所的なパッチに対して、そのパッチに含まれる素性の「プール」(かたまり)を作り、その中で最も値の大きいものだけを取り出し、特徴を粗く整理する。

[具体的な処理]
◆画像例(プーリング処理前の畳み込み)
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◆プーリング
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参考
Qiita:【入門者向け解説】畳み込み処理入門(TensorFlowで説明)
https://qiita.com/FukuharaYohei/items/702eb2430ee9dfbe763a

Qiita:【入門者向け解説】プーリング処理入門(TensorFlowで説明)
https://qiita.com/FukuharaYohei/items/73cce8f5707a353e3c3a

Udemy:畳み込みニューラルネットワークとは?手順も丁寧に解説
https://udemy.benesse.co.jp/ai/convolution-neural-network.html

CodeZine:コンボリューションを用いた画像の平滑化、鮮鋭化とエッジ検出
https://codezine.jp/article/detail/129

 人間の脳と同じように様々な知的振る舞いをこなすことのできる「汎用人工知能」が2030年頃には完成すると言われている。仮に実現すれば、私たちの生活は一変する。鍵となるのは、「全脳アーキテクチャ」

 今騒がれている人工知能の多くは「特化型人工知能」。一つのタスクしかこなせないのが特徴。たとえば、Googleのような検索エンジンやSiriなどの音声認識が当てはまる。インプットしたある特定の分野には高い能力を発揮するが、人間の脳のように「自律的に考え判断し行動する」というようなアウトプットはできない。

 一方、「汎用人工知能」「自律的に物事を考え判断する」という特徴を持っている。

 「汎用人工知能」を完成させるためには、人間の脳をモデルとした機械学習器をつくる必要がある。汎用人工知能は2つの方式のいずれかによって実現されると言われている。

 1つ目は、「全脳エミュレーション方式」。これは、1000億のニューロンと100兆のシナプスから成る脳の神経系のネットワーク構造をすべてデータ化してコンピュータ上にソフトウェアとしてすべて再現するという方式。

 2つ目は、「全脳アーキテクチャ」。脳の構造を模倣した「人工脳」を作ることで実現される方式。「全脳アーキテクチャ」は、おおよそ2030年には完成されると言われており、もし実現できれば一人の人間の知性を凌駕する「汎用人工知能」が生まれるとされている。

 人工知能による影響を経済学の観点から研究する井上智洋氏は、「全脳アーキテクチャ」による汎用人工知能が誕生するとされる2030年を「第4次産業革命の始まり」と語る。

 第4次産業革命は、「ビッグデータ」「IoT」「人工知能」によってもたらされる産業革命。産業革命の歴史をたどると、1770年には、蒸気機関による第1次産業革命が起き、1865年には内燃機関や電気モータによる第2次産業革命が起きた。そして、1995年にはパソコンやインターネットが引き金となった情報革命である第3次産業革命が起きた。

 井上氏は、これら産業革命の歴史を俯瞰して「第4次産業革命は、第1次産業革命に匹敵するほどの大きな変化になる」と語る。

 第4次産業革命が起きると、経済構造に大きな変化が訪れる。これまでの資本主義経済を形成していた「機械化経済」が、人工知能やロボットが生産活動に必要なインプットを主導する「純粋機械化経済」へと変わっていくとされる。

【機械化経済】
 産業革命以前には、技術の進歩が穀物収穫量を増大させても、同じ分だけ人口も増加し、1人あたりの食い扶持が変わることはなかった。これを「マルサスの罠」という。ところが産業革命はそれまでと違って、爆発的な人口増大をさらに上回るスピードで生産性を増大させ、マルサスの罠からの「劇的な脱却」をもたらした。この産業革命以降の資本主義の経済を「機械化経済」と呼び、2つの特徴的な構造を持つ。

 1つは「規模に対して収穫一定」。労働と機械(資本)をインプットとして、工業製品やサービスといった生産物がアウトプットとしたとき、インプットを倍にすると比例してアウトプットも倍になる。

 もう1つが「限界生産量遁減」。インプットにおける機械だけを増やしても、労働者の人数が変わらなければ、生産力は増大しない。

【純粋機械化経済】
 最初の産業革命では「生産の機械化」がなされたが、汎用人工知能の出現は「労働」をも機械化すると予想される。機械が「生産手段」から「生産の主体」に変わる。
 「機械による機械の生産」が無限に繰り返され、生産規模がどこまでも拡大。「限界生産量遁減」からの脱却が起こる。

 「労働者の多くが雇用されず、汎用AI・ロボットが生産活動に全面的に導入されるような経済、機械が生産の主力になり代わる経済」が「純粋機械化経済」。


参考
Biz/Zine:「人工知能の経済学」視点で考える第4次産業革命――雇用なき経済成長と認知アーキテクチャ
https://bizzine.jp/article/detail/1890

文藝春秋:井上智洋著「人工知能と経済の未来 2030年雇用大崩壊」

 最近、「IoT」「ビッグデータ」「ロボット」「AI(人工知能)」などのキーワードと共に、『ゲームチェンジングテクノロジー』という言葉をよく耳にする。

 「ゲームチェンジングテクノロジー」(ゲームを変える技術)とは、全く新しい概念や科学に基づいた革新的な技術を指し、私たちの生活様式、コミュニケーションの取り方、働き方、世界市場ひいては国家間の支配勢力図を激変させる革新的な技術のこと。

 革新的な技術は、軍需領域から発生するケースが多く、米国国防総省(陸海空軍、海兵隊)が取り組んでいる重点研究領域から「ゲームを変える3つのテーマ」を挙げると、

【ゲームを変える3つのテーマ】
・オートノミー(autonomy:自律)
 何らかの仕組みを自律的に動かす機能を指し、そこに組み込まれるアーキテクチャやアルゴリズム、センサーを通した環境との相互作用、操作する人間とのインターフェース、人間社会を統治する様々なルールとの関係、などが含まれる。
 オートノミーを支えるために人間の限界や弱点を補うのが、人工知能(AI)、データと知識が融合される多くの局面で人間の判断を支援する。

・アナログ技術の復権
 アナログデータをデジタル化するITは進化してきたが、環境から得られるデータをすべてデジタル化することは効率が悪い。多くの消費電力を必要とし、小さなエラーが大きな障害をもたらす。それに対し、アナログ処理は低消費電力でロバスト性が高い。人間の脳の処理を模した脳型コンピュータが発展し、アナログ処理とデジタル処理を組み合わせた技術が新しい可能性を拓くと考えられる。

・全地球測位システム(GPS)を代替する新しい技術
 SWaP-C(Size, Weight, Power, Cost:小さく、軽く、パワーがあり、安い)の要求を実現する形で、今世紀に入り最も進んだ技術の一つがGPS であったが、妨害などを受けやすく、室内や海中では機能しないという問題があった。
 このため、GPS 信号が遮断された状態でも位置情報を計算できるナビゲーションの研究が進んでいる。すでに慣性計測ユニットを持つ超小型チップやチップサイズの原子周波数標準発振器なども開発され、GPS 代替研究の波及効果は大きい。


 これからは、「ゲームを変える技術」は何かを見極めることが益々重要になっていく。ゲームを変える技術を見誤ると、市場から退場させられる危険がある。また、AIを始めとして、革新的な技術は、エクスポネンシャルな進歩を遂げるので、しっかりと追従していく必要がある。


参考
日経ビジネス:米軍事研究から見える「ゲームを一変する技術」
https://business.nikkei.com/atcl/report/15/226265/011000203/

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