AI(人工知能)& IoT

AI(人口知能)とIoT(モノのインターネット)について、少しずつ紹介していきます。

2020年10月

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策として、在宅勤務を継続する企業も多く、Web会議ツールは在宅勤務において重要な役割を果たす。

一方、Web会議ツールはサイバー攻撃の標的にもなりやすい。ソフトウェアの脆弱(ぜいじゃく)性を悪用したリモートでのマルウェア実行、Webカメラの遠隔操作による盗撮、サーバなどのリソースに負荷をかけてサービス停止を狙うDoS(サービス拒否)攻撃への対策は不可欠。

1.会議の開始タイミングを制御する
 ホストが正式に会議を開始するまで始められないようにすることで、不正な参加者が入ってくるのを防ぐ。

2.同じミーティングIDを使い回さない
 会議IDを不正に入手して会議に乱入し、嫌がらせ行為をする「ボンバー」(爆撃者)または「スクワッター」(不法占拠者)と呼ばれる攻撃者が存在する。

3.パスワードを設定する
 会議ごとに個別のミーティングIDを使うだけでなく、パスワードによる認証は、物理的な会議室に入ってくる出席者の顔を確認するのと同じ。

4.ミーティングルームに鍵をかける
 参加者全員がバーチャル会議室に入室したら仮想的な“鍵”を掛ける機能を持つWeb会議ツールもある。この機能は不正な参加者の乱入を防ぐのに役立つ。

5.会議の録画を参加者に通知する
 録画機能を備えるWeb会議ツールで会議を録画する際は、プライバシー保護の観点から参加者にそのことを通知する必要がある。

6.バーチャル背景を利用する
 「Zoom」のバーチャル背景機能や、「Microsoft Teams」の背景をぼかす機能を活用すれば、参加者はうっかり何かが映ってしまうことや室内の状態を気にせずに会議に集中できる。無料のバーチャル背景もたくさんあり、背景を変えることで、会議の活性化につながるとの声もある。

7.チャット機能に注意する
 チャットでは機密情報や社外秘ファイルをやりとりしないよう、注意を促すことが必要。マルウェア防止機能がWeb会議ツールにない場合がある点にも注意。

8.Web会議ツールのアップデートを怠らない
 悪意ある攻撃者や善意のハッカーがこうしたツールを狙うようになれば、重大な欠陥を修正するアップデートも頻繁に公開されるようになる。Web会議アプリケーションをインストールした全てのデバイスについて、アプリケーションを常に最新の状態に保つ必要がある。


【出典】
TechTargetジャパン:バーチャル背景だけじゃない Web会議のプライバシーとセキュリティ8大保護策 https://techtarget.itmedia.co.jp/tt/news/2006/08/news07.html

 2020年6月10日、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)は人工知能(AI)技術の社会実装を進めるプロジェクト「次世代人工知能・ロボットの中核となるインテグレート技術開発」において、機械学習の自動化などの開発期間の短縮と、容易な利用・導入を可能にするプラットフォームを構築することを目的に、新たに3件の研究開発テーマを採択したことを発表。早期の社会実装とグローバル市場への展開を視野に入れて、アジャイル型の開発手法で研究開発を進めていくとしている。

■研究開発プロジェクトの概要
事業名:次世代人工知能・ロボットの中核となるインテグレート技術開発
実施期間:2018年度~2023年度(予定)
予算:17億円(2020年度)
研究開発項目1:「人工知能技術の社会実装に向けた研究開発・実証」
研究開発項目2:「人工知能技術の適用領域を広げる研究開発」
研究開発項目2-1:「人工知能技術の導入加速化技術」
研究開発項目2-2:「仮説生成支援を行う人工知能技術」
研究開発項目2-3:「作業判断支援を行う人工知能技術」
(i)設計における問題点・改善点を自動的に指摘する人工知能技術の開発
(ii)製造における非熟練者の判断を支援する人工知能技術の開発

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今年度は、研究開発項目2-1、2-3(ii)について公募・採択。

【テーマ①】
『自動機械学習による人工知能技術の導入加速に関する研究開発』
 ハイパーパラメーター最適化、ニューラルアーキテクチャーサーチ、転移学習を融合し、多目的最適化に拡張することでさまざまな産業用途に合わせたネットワークモデルを自動的に速く構築することを目指した研究開発。

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【テーマ②】
『オンサイト・ティーチングに基づく認識動作AIの簡易導入システム』
 AI導入作業の簡潔化を目的とし、そこに含まれる繰り返し単純作業を知能ロボットにより代替するシステムの開発を目指す。認識動作の知能モジュールにより、人と同様に視覚、双腕、ハンドを有するロボットが、人がその場で見せた対象物と、それに対する動作を基本情報として蓄積し、自ら試行錯誤を繰り返す中で適切なAIソリューションの選択やデータアノテーション※5、ハイパーパラメーターの探索を行う。

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テーマ③】
『最適な加工システムを構築するサイバーカットシステムを搭載した次世代研削盤の開発』
 暗黙知とされる熟練者思考をグラフデータ化して最適な加工システムを導出し、熟練者の感覚をセンサーが捉えるマシンの挙動と加工変化に置き換えて数値化することで、加工最適化を行えるAI技術を搭載した複数種類の研削盤を開発する。

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【アジャイル】
 反復(イテレーション)と呼ばれる短い開発期間単位での開発を採用し、その開発期間単位を繰り返して、完成度を高めていく開発手法。順次、機能確認しながら開発を進めることで、リスクを最小化しようとする開発手法の一つ。

【ハイパーパラメーター】
 ディープラーニングにおいて、人間が最初に設定しなければならない重みの初期値や学習率といったパラメーターで、現状は試行錯誤で決定している。

【ニューラルアーキテクチャーサーチ】
 深層学習モデル(ニューラルネットワーク)のネットワーク構造を自動的に生成する技術。

【転移学習】
 ある領域で学習したこと(学習済みモデル)を別の領域に役立たせ、効率的に学習させる技術。

【アノテーション】
 あるデータに対して関連する情報(メタデータ)を注釈として付与すること。AI技術では、ディープラーニングを活用するための運用工程の一つであり、取得した大量のデータを識別および分類し、教師データ(正解データ)を作成する機能。



出典
NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)ニュース

 2019年12月、中華人民共和国湖北省武漢市において「原因不明のウイルス性肺炎」として確認された新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、2020年2月末の時点で全世界の患者数は85,000人を超え、世界保健機関(WHO)は、3月11日に「新型コロナウイルス感染症の拡大がパンデミックと形容される」と評価するなど、グローバル化が進む人流・物流とも相まって、3か月あまりで全世界へと感染が拡大していった。

 この事態に対応するため、感染リスクを下げる目的から、不要不急の外出やイベント開催の自粛が呼びかけられたことを受け、テレワークの導入やオンライン教育の実施、さらにはオンライン診療に係る規制の緩和などが行われていった。これまでオンライン化があまり進まなかった領域においても、デジタル化の波が押し寄せつつある。

 これまでもウメオ大学(スウェーデン)のエリック・ストルターマン教授が提唱した「ICTの浸透が人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させるデジタルトランスフォーメーション(DX)」の実現を目指し、デジタル基盤の整備やデジタル技術の活用による産業の効率化や高付加価値化が進められ、その過程において、内閣府が提唱するSociety 5.0の実現に向けた取組が進められている。Society 5.0 は「サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させることにより、地域、年齢、性別、言語などによる格差なく、多様なニーズ、潜在的なニーズにきめ細かに対応したモノやサービスを提供することで、経済的発展と社会的課題の解決を両立し、人々が快適で活力に満ちた質の高い生活を送ることのできる、人間中心の社会(Society)」であり、フィジカル空間とサイバー空間が緊密に結合されたシステムを「CPS(Cyber Physical System)」という。

 感染症の収束後は、両空間が完全に同期する社会へと向かうとの指摘がある。今後、人々の活動の場は、フィジカル空間からサイバー空間へと移行していくであろう。そのような移行を妨げる規制・慣行を見直し、リアルとサイバーの垣根を最大限取り除くことが、収束後の社会・経済に向けた重要な取組となる。

 第5世代移動通信システム(5G)をはじめとするデジタル基盤やIoT(Internet of Things、モノのインターネット)システム構築技術大量のデジタルデータ(Big Data、ビッグデータ)解析技術等のいわゆるAI(Artificial Intelligence、人工知能)技術は、今まで以上に重要となっていくであろう。

With Corona


【出典】令和2年版 情報通信白書-総務省

 10月2日、人工知能(AI)を使ってポルノ動画の出演者の顔を女性芸能人の顔にすり替えた「ディープフェイクポルノ」をインターネット上で公開したとして、警視庁と千葉県警は、男2人を名誉毀損と著作権法違反の疑いで逮捕したと発表した。立件は全国初という。

 「ディープフェイク」は、人工知能(AI)の技術「ディープラーニング(深層学習)」「フェイク(偽物)」を組み合わせた造語で、「ディープフェイク」のうち、女性芸能人の顔を市販のポルノ動画にはめ込んで作成した偽動画を「ディープフェイクポルノ」という。

 2017年に米国のネットサイトに無断で投稿されたのが始まりとされ、19年7月には世界で約1万4000件まで急増、米国の一部の州では、ディープフェイクポルノの公表などを規制する州法がある。

 実際ネット上で、「ディープフェイク」で動画を検索してみると、新垣結衣さんや石原さとみさんなど著名な女優さんの顔にすり替えたいかがわしい動画が多数出てくる。AIの技術が、このようなことに利用されるのは悲しいことではあるが、そういうものを欲する人もいることも現実である。

 今、米国大統領選挙の真最中だが、ここにも「ディープフェイク」の悪用の報告も聞く。以前次のような、オバマ元大統領のフェイク動画を紹介したが、人々を惑わすものに、AIを利用してほしくないと思う。



 撮影した動画から、不要な車や人を消すソフトや、川の画像を水が流れているような動画に編集するソフト。iphoneアプリで風景写真に簡単に虹を入れられるものなど、これらも現実のものをAIを使って変えていると点からみれば、「ディープフェイク」とも言えるが、こういったものに利用するのが正しい使い方であろう。


参考引用
YAHOO!ニュース:AIで芸能人の顔にすり替えた「ディープフェイクポルノ」公開 容疑の2人逮捕

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