商用サービスが始まった5Gの真価を発揮するカギとなるのは、「5G SA方式」「ネットワークスライシング」と言われている。

【5G SA(Standalone/スタンドアローン)方式】
 既存の4Gネットワークを活かしながら、部分的に5Gを導入していく方式を「5G NSA(Non-Standalone/ノンスタンドアローン)方式」という。

 一方、4Gのコアネットワークから独立した4Gのコアネットワークによる5Gの基地局を単独で動作させる方式を「5G SA(Standalone/スタンドアローン)方式」という。

現在の「4Gコアネットワーク」から「4G NSA」を経て、「4G SA」へ移行していくとされるが、今しばらく時間がかかると言われている。

5GSA
(新世代モバイル通信システム委員会報告概要資料より)

【ネットワークスライシング(Network Slicing)】
 「ネットワークスライシング」とは、仮想的にネットワークを分割し、複数の通信を同時にエンド・ツー・エンドで実現すること。

 ネットワークスライシングでは、5Gの特徴である「高速大容量(eMBB)」「超高信頼・低遅延(URLLC)」「多数同時接続(mMTC)」を活かすために、用途に応じて、データを送る単位を変える。

 たとえば、低遅延が望まれる用途では、一度に送るデータのサイズを極力小さくする「超低遅延スライス」を使う。データの送信開始時から完了までの時間は短くすることで機械にデータが届くまでの遅延を少なくする。

 逆に、8K映像伝送用などには、一度に送るデータの帯域を大きく取り、大容量のデータ伝送する「高速大容量スライス」を使う。

 また、超多数のデバイスを収容しながら、ある程度の低遅延通信が可能なようにURLLCとmMTCの中間的な性能を持つスライスを使うといったケースも出てくると考えられる。

 LTEをアンカーバンドとする「5G NSA」では、ネットワークスライシングは実現できない。RAN(無線アクセスネットワーク)からコアネットワーク、トランスポートまで含めたエンドツーエンドのネットワークスライスを作るには、「5G SA」の導入が必須。

 国内携帯キャリアは2021年半ば以降に「5G SA」を導入する見通しであり、ネットワークスライシングを提供するのは、早くとも2023年頃、一部のユーザーや地域に限定して先行的に提供する場合でも、2021年からスタートすると見られている。


【出典】
ケータイ用語の基礎知識「第857回:ネットワークスライシングとは」

企業ネットワーク最前線「5Gスタート後の“最初の関門”SAとネットワークスライシングの導入シナリオ」https://businessnetwork.jp/Detail/tabid/65/artid/7449/Default.aspx